2010年4月8日木曜日

インドの動物たち






「牛になるならインドの牛に」とでも言いたいくらい、ここでは牛が幸福なものである。
何も彼も牛だ。ジバーの神の妻、パルパチの化身だとか。
運搬にも、耕作にも、臼廻しにも、乳を採るにもすべて牛である。
大都会の牛は悠々と歩行している。
自動車が来ようが何が来ようが一向に頓着せず、至極落ち着いたものだ。
遠慮なくバタリバタリと糞をする。それを下層階級の女たちが我先にと集めている。
彼らの大切な燃料なのだ。これも満州に極似なところの1つである。
道端の河で牛を大切に洗っているのもしばしば見かける。


インドで目につくものといえば、この牛の大道闊歩と空に飛ぶ鳩の群だろう。
日本の鳥とよく似ているが、頭と胴が少し灰色になっている。
これが実に暢気で家の軒先や樹上で鳴いているが、
ちょっと油断するとテーブルの上の食物を何でもついばんでいく。
頭にものを載せて行く女がいると、それを目の前でさらっていく。滑稽で実に暢気な光景である。
この鳥が、真夏の暑さのもと、大樹の根元で昼寝をしている牛の目やにをついばんでいる。
牛は心地良さそうに取ってもらっている。

それから大きな木に実がなったようにぶら下がっている無数の黒いものがある。
よく見ると何だか動いている。
1尺ばかりのコウモリが逆さになって眠っているのである。
どの木にもいるわけではないところを見ると、止まる木の種類は限られているらしい。

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