2010年4月3日土曜日

シンガポール




9月15日 午前中、右側遥か先に島影が見えはじめる。

午後4時、ようやくシンガポールに入港。
郵船、三菱および味の素の諸氏により出迎えられ、
味の素駐在員のC氏に案内を乞うこととする。

自動車で市内を一巡した後、ジョホール王国を訪ね、植物園を見て、
ドライブウェイの山上の茶店で紅茶をすすり、夕方コトンのセントラル・ホテルに投じる。

シンガポールは香港より1440里、北緯1度17分。
ほとんど赤道直下である。だが陸上は想像ほど暑くはなく、
ここにも例の独木舟を漕ぎ、船客に銭投げを求め潜水してたちまち拾うマレー人の群、
煙草を逆に口中にくわえて潜る者もいる。

ジョホールは人口約30万、香川県くらいの面積があるそうだ。
舗装道路を時速約50メートルの速力で走るマレー人の運転手はなかなか操縦が上手い。
シンガポールはマレー半島最南端の、広さ226平方メートルくらいの小島。
英国は海峡植民地政府を置き、最近大規模な要塞築造で問題を起こしたほど、
英国にとっては重要な場所である。
なにしろ東洋、西洋、南洋の分かれ目のため政治上、経済上、意味深長な地位を占めており、
人種も極めて複雑で、支那人、マレー人、インド人、ビルマ人、アラビア人その他雑然としたもので、
中でも支那人が最多数を占め、全人口の約7割に相当する。

在留の日本人は約4千人と聞く。
多くはゴム栽培に従事している。赤道直下の都市ではあるが、
特有の豪雨のため暑さは割合に緩和される。
香港、上海と同様に英国の東洋経略の根源地、文明都市の体裁を有しており道路は整頓し、
郊外に向かい、開拓者ラッフルの銅像がある海岸通りあたりは
英国風の大建築が軒を並べ美観なものだ。
山の手の住宅地域はヤシ、菩提樹その他鬱蒼とした熱帯植物が繁り、
森林の中には床を高く軒を出した色とりどりのバンガローがあり、見るからに涼しそうだ。


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