2010年4月25日日曜日

ロンドン生活事情

ロンドンの日曜日は、徹底的な安息日である。
午前中は教会へ行き、公園や郊外に出掛け、仕事のことは忘れて朗らかに休養する。
働く時間と遊ぶ時間を明確に区別している。
商店は薬屋と小さな飲食店しか開いていない。興行物なども早じまいである。
新聞はもちろん、郵便配達も全休である。交通機関までが少なくなる。
平日でも閉店時間が確守されて、書簡は12時半頃から2時まで休み、夜は7時に全部店を閉じる。
あまりに徹底しているので旅行者には実に不便で、日曜日などは過ごしようがないくらいだ。

酒を飲むにも制限がある。
料理店では午前中は一切飲酒できない。
正午から午後3時まで売り、3時から6時までは禁じられ、6時から11時まで許すのだ。
これは料理店のことで、酒商では午後7時以降は絶対に売らない。
執務時間の飲酒は禁じられ、これが正確に実行されている。
欧州での飲酒はパリのワイン、
ベルリンのビール、
英国のウイスキーと相場は大体決まっていて、
ここロンドンでは良いウイスキーが安く飲めると思っていたのだがそうでもない。
内国消費税がかけられているからここは非常に高い。外国で飲む方が安いのだ。

街を歩いていると人道では音楽をやっている。
その脇には帽子が上向きに置いてある。中にはいくらかの金が投げ入れられている。
通行人も立ち止まって聴いている。1人の者や、4〜5人の大掛かりのもある。
辻にはマッチ売りのおばあさんがいて、
日本のようにタバコにマッチなど付けてはくれない。マッチはなかなか高いのだ。
街頭の花売りも奇麗なものだ。
新聞の売り子が記事を手に声高に怒鳴り、
靴磨きが辻々にいて通行人に声を掛ける。これらの多くは地下鉄の入口にいる。

ロンドンでは地下鉄をチューブ、
パリではメトロ、
ベルリンではウンター、
ニューヨークではサブと称するそうである。
ロンドンの地下鉄は六、七十尺から百尺くらい地下を走っており、
戦争時の避難所にも適当とされている。
歩道から通じる階段を降り、地下の広場で切符が売られ、
ピカデリーなどの広間の周囲は皆、有名な商店の装飾窓に使われている。
改札口からは百尺近くをエスカレーターでさらに下り、これが大きいところは二畳ほどもある。
急がない人は右側に、急ぐ人は左側を走って通る。
電車はおよそ1分おきに走り、1・2等に区別され、喫煙車は別に付いている。
地上のような交通制限がなく、ゴー・ストップもないため
最も早く移動できるので、たくさんの人に利用され
乗降客はどこもいっぱいだった。

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