2010年4月3日土曜日

上海発、照円丸の船上 その2




9月9日 午前7時 目覚める。
丁君が平熱になり、共に喜ぶ。しかし朝食は尚1人で寂しく済ませた。

図書室をのぞくと、和洋書の備え付けがあるではないか。
雑書を持参したのは愚案だったようだ。

午前10時 デッキで救命衣の実施演習。
汽笛を合図に船室備え付けの救命衣を各自が付けて、
異様な姿で指定のボートの位置へ集まる。
船長その他の点検があって無事に済んだ。
こんなものを実際に使用するようなことがあっては大変だと笑う。

丁君ようやく回復。理髪に行き、しばらくして頭をきちんと分けて戻って来た。
そのスマートぶりを奥様に見せたらどうかと笑いあう。
浴後、丁君は和服姿で初めて食堂に出た。
食後、サロンでパーサーと満州論を闘わせる。
この郵船のサンフランシスコ線は香港を起点としているそうだが、
一刻も早く満州国産業の開発のため大連を起点とするよう切に希望しておいた。

デッキではダンスが始まった。
外国人連れがしきりに踊り、日本人は誰もフロアへ出ない。

2 件のコメント:

  1. 図書室、散髪、夕食後のダンス等々、ひと月の船旅はそのままひと月の生活そのものだ。飛行機のない当時は特権階級にだけ許された旅であった。世界旅行だからいまでもそうか。うらやまし。

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  2. 最近、シニア層に船旅行が人気だそうです。
    身近なところでは2泊3日の駿河湾クルーズ、
    富裕層にはヨーロッパ周遊。
    でもねえ、旅にくつろぐことよりもアトラクションを求める日本人には
    向いてないよ多分。3日目で飽きて、グループができて…
    トラブルが起きても逃げ場がないもんね
    メディアにのせられるシニア層が多いんだろうな…

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