2010年4月3日土曜日

シンガポールを観る

ラッフルズ博物館を観た。
マレー人種に関する幾多の珍籍、動植物、古武具、織物、その他、世界的な珍品を集めている。

博物館前のオーチャード・ロードを行くこと約10メートルに植物園がある。
珍木な奇草が色とりどりの花をつけ、ふくふくたる香りを放って人を魅了する。
とくに蘭花はその道の玄人をして垂涎の三千丈、
一攫千金にも代えがたい龍舌蘭や大玉蘭などがある。

そしてなにしろ果実の市場である。
マンゴー、バナナ、パイナップル、ココナツ、パパイヤ、ドリアンなど、
まるでエデンの園に迷い入ったアダムのようだ。
ただし期待していた日本食の味は油気がなく、バラバラで食えたものではない。

一帯の影色、とくに郊外などは九州によく似ている。
茅葺きの家、入母屋、造り笹の垣、歯柴の茂りもそのままだ。
ただヤシの樹は生き生きと天に摩し気持がよい。

ジョホール王国の門で衛兵の検査を受け、王宮広壮な回教寺院を見る。
一帯は閑静な別荘地に過ぎず、建物も粗造なものに化粧を施したに過ぎない。
すべてが英国化され、どちらを主人とするのか私たちは判別に苦しむ。
市内繁華街にはインド人の寺院があった。
古代より現代に至る大小無数の人像を
塔屋および主要建物の前面に取り付け、しかも極彩色。
極端な結果、返って渋みがあり面白い。

9月16日 正午。
船は折からの豪雨をついて出帆、これよりいよいよマラッカ海峡に入る。
大小の島々が点在し、両岸の緑樹が水煙のあいだに隠れ見える様子は
まるで瀬戸内海のようだ。
右にスマトラ島の山々を望む。

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