2010年4月8日木曜日

インド“生活”事情





インド人はよく洗濯をする。朝鮮や満州と同様、丸太で叩いて洗う。
外国人や日本人は、ズボンだけは1日2回くらい変えるという。
朝ゴルフに行き、帰りにテニスをやれば衣服もくたくたにもなる。
日本人では普通、洗濯費が1ヶ月で25、6円ほどかかるそうである。
そこへいくとインドは1年のうち約3ヶ月は合い服で、他の季節はすべて夏服である。


インド人の洗濯屋を「ドホビー」といい、下賤の階級で金を払うにも投げてやるそうだ。
階級制度は実に極端なものだ。
大抵の洗濯屋はロバを連れていて、大きな包みをその背に乗せて、
主人の後をちょこちょこと従って行く姿は可憐で、満州あたりで見るのによく似ている。


インドの散髪は大道稼業「ナービー」または「ハーゲヤマ」といい、
1日中そこらの家々を回って歩く。
大抵月定めで、前にも書いたように朝まだ寝ているうちに来て剃っていく。
最近、大都市では日本人の理髪屋もできたそうだが、まだまだ盛んに道端でやっている。
インド人の多くは頭髪の他に股下も剃れば、ほかにあるごときところのものも剃る習慣だそうだ。
女も同様である。これは理髪屋の余得であろう。


インド人の家庭には湯殿がない。
無論ホテルや洋風の住宅には必ずあるが、一般にはない。面白いことに汽車にはある。
第一、インド人は湯に入るということをしない。
河や沼、あるいは井戸端で水を浴びる。これは宗教から来ているものらしい。
トボテーやサリーを着たままで河の中へ入っていく。
見たところ河は濁っているが平気なようだ。
そして濡れたまま岸へ上がって乾かし、あるいは着替える。
女が濡れたままのサリーで川岸に立つときは、その脚線美があまりによく見える。
恐らくは幾多の物語が生まれていることだろう。甚だ魅惑的なものである。


またインド人の家庭には便所がなく、すべて便器である。
朝早く邸外などで壷を手に急いで行く姿を見受けるが、これは皆、用足しに行くのだ。
そして持参した壷の水で手と共に洗うのだ。
とにかくこの壷は彼らが1日も離し難い物の1つで、
これを頭に載せたり横抱えにしたりしている。


インド人の女の姿はインド情緒を代表する一幅の絵のようである。
しかし道でも家の中でもインド人は、口を真っ赤にし甚だ気味が悪い。
これは「パレ」という木の葉に石灰と○○阿仙薬ともいうものを包み、
これが唾液に混じると赤色の液が出るのだ。
非常に衛生的でよろしいと彼らは言うが、どうも見ていられない気味の悪いものである。
これを無遠慮に道でもどこでもペッペッと吐き出すのは実に不潔である。

1 件のコメント:

  1. 口を真っ赤にしたインド人のことがまた出てきたが、これビンロウといっていまだに嗜好品として好まれるらしい。よほど気持ち悪かったんでしょう。

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