2010年5月6日木曜日

ベルリン市街



11月9日 
H氏の案内でウンターデンリンゲンの正金銀行にマルクを受け取りに行ったが、
私たちのは三井銀行のクレジットなので、コンメルツ銀行に行けという。
すぐ目の前のその銀行に行き、5日分の費用500マルクを引き出す。



それから満州国事務所を探したが、なかなかわからない。
何のことはない、訪ね先は正金銀行と一つ屋根の下の6階にあった。
商務官のK氏に面会。
昼食を「リッターワグナー」という地下の酒蔵のようなレストランでとる。
ここは古くて有名で、カイゼルなども来たことがあるという。
壁や天井、テーブル、椅子まで記念の落書きでいっぱいだ。

ここを出る際に、石畳の舗道でものの見事にすべって転んだ。
たくさんの人通りの中、なんとも体裁の悪いことだった!
舗道は建物から二尺ほど、または五、六尺くらいまで二寸大の石のモザイク砂伏せで、
それから約十五、六尺幅が人造石の舗道、車道の間にまた二寸大のモザイク状に
小石が五、六尺くらい砂伏せになっている。これが普通だ。
舗石はツルツルに摩滅し、車道に向って勾配が付けられているため、
靴のかかとに打ち込まれた金属ですべったらしい。
道路は広く、ことに舗道はゆったり取ってある。もっともパリほどではないが。

建物はドイツ風にさっぱり、キチンとしたもので、
6〜7階建てで見事に揃っていて掃除がよく行き届き、
ゴミ1つ見えないほどに掃き清められている。
辻には町名番地入りの札が架けられ、番号順に矢印が付けられ、
郵便箱には集配の時間までがカード式に取付けられている。
広告は統制され、所々に公告塔が建っている。
また、必要な場所には自動計量器まで備え付けられ、非常警笛器なども要所にある。

午後は三井、三菱へ挨拶に行き、日本商店「よさの」に立ち寄る。
写真機を勧められ、考えてみることにした。
帰途「都」という日本料理店に入ったら、たくさんの日本人がいる。
よく見ると工専のM氏がいるではないか。
校長からいただいた氏の旅程では会えないと思っていたが、ここで会うとは実に嬉しい。
満鉄鉄道部のI氏もいる。M氏との話は尽きない。
ホテルに同行し12時近くまで何かと話し込み、校長宛に連名でハガキを出した。
異郷の地で知人と会うのは嬉しいものだ。

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