2010年6月15日火曜日

海外居住者の苦難を偲ぶ




海外居住者は一見すると華やかなものだが、
考えてみるとそれはごく僅かなことで、不自由で気の毒なことが多い。

公私共に母国にいる場合の2、3倍の努力を払わなければならない。
公務上においても国情の違う、しかも対外的には極端な秘密主義を相手にし、
相当認識を有する自信があっても恐らく徹底できることではなかろう。
その間も自国からは勝手な注文が殺到し遅速を云々され、
うまくいって当然で不成功の場合はその責任を問われ、
おまけに日に月に視察漫遊の旅行者が押し掛け、
何の連絡もなく一人よがりの認識不足の依頼をしてくる。
繁多な用務の間でも彼らを相手にしないわけにはいかない。
役所は予算の都合で従業員も不十分、文具にいたるまでしばられて、
公務の対面もあり、事情を具申すれば贅沢のようにとられてなかなか承認しない。

大小公務はこちらの都合のよいようには運ばず、
私的生活においても衣食住の三要素を欠き、子供たちの通学も考慮せねばならない。
そんなこんなで家族を故国に残し、離れ離れで5〜6年も独身生活を送る者もいるようだ。

一概には言えないが、こんな不自然な生活をしながら満足のいく仕事はできないだろう。
K氏はこれに加えて未承認の各国を相手とし、
しかも初の駐在官として多大な期待をされているだけに、非常な苦心と努力を必要とし、
細心の注意をもって相当押しの強い活動を続けられている。
必ず好結果を得られると確信するが、その苦心を想像すると同情に堪えない。
しかし日独協定の成立は氏の努力にも好転を来すものと思う。

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