2011年7月24日日曜日

建築群にあらわる、アメリカ合衆国の姿



ワシントン市はホドマック河をまたいで自然の景勝を基とした雄大な計画で造られており、
ニューヨークの井型とパリの放射型を併用し、
建築物は皆、配置、環境、敷地などとの調和がよく研究され、
一貫した計量によって官公署の建築などもよく統制されて実に美しく雄大。
理想的な都市計画である。


ここへ来てアメリカ人のよき面を見たような気がする。
しかし統制された官公署建築に接して一般建築の粗雑なものがあるのは
どこの国にも共通した悩みと見える。
相当以上に留意されているここワシントンでさえ、これは仕方のないもののようだ。


また、ここで特に感心したのは多くの官庁群がデストリックヒーティングで、
したがって煤煙防止においても相当留意されているそうで、
白い建物が多いがその多くはあまり汚れた様子もない。
まだ暖房時期であるがどこを見ても目につくほどの煙は上がっていない。
空は澄みわたり、実に清澄な街である。


外国人にとっては国の威力も個人の偉大さも、形に表現しなければ承知できないもので、
ワシントン市も現代アメリカ合衆国の隆盛と首都の権威を
有形的に表現するがために、特に新設された大都市である。
歴史が短いので古跡を持たないアメリカは、記念物を造ることに相当に苦心しているが、
金の力で出来たものはいかに立派なものでも奥ゆかしさはない。
説明も欧州では耳にしない金高や大きさと高さのことばかりである。


とはいえ、ワシントン市を1日で見物するのはなかなか骨の折れることで疲れた。
停車場へ行き絵はがきなどを買い求め、午後4時ニューヨークへ戻った。

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