正月13日
今日はいよいよ午前11時の列車でローマを出発、ピサ行きである。
それまでに買い物を済ませ、宿の主人や同宿の文理大学のT氏らに
見送られて出発した。今日はとくに好天気で、
列車の窓に燦々とした陽光を受け暑いくらいだ。
ローマに入ったときは夜だったので、今日は車中、外の景色を注意して見た。
山上に城塞が点々とし、家々はみな高く、ススキのような樹木、
円形の松粗石の家は白壁赤屋根で何ともいえない良い色あいである。
急流が苔むす岩を洗い、静かな深淵、
濃い緑の深い森野にヒツジの群れに鞭する牧童、交錯する白牛、
空には一点の雲もなく麗らかな車窓にいつしか夢心地に入る。
午後4時、ピサの古く寂しい街に着く。ホテル・ネチュノに投じ、
早速地図をもらい有名な斜塔のある寺院までぶらぶらと歩く。
人通りの少ない夕方の狭い街路を抜けて10分ほどで着く。
白大理石造の寺院を街角に立って眺めた。
街の辻馬車で市内見物をしたが、30分も回ったら済んでしまった。
ここは1泊するほどの価値はないが、
ゼノニアース間を昼間見ようということで泊まることにした。
しかしこんな寂しい街にも電車とバスがあり、ホテルの前は相当にやかましい。
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