2010年10月28日木曜日

イタリア建築行政のことなど…




正月12日 
部屋の中は少々寒いが外は風もなく暖かい。
午後2時から陸軍事務所にA末中佐を訪問。夫人、令嬢からご馳走になる。
今年は海外で正月を迎えた私、ことにスイスの山中だったので
祝酒もワインで済ませ、もちろんお雑煮などは望めなかった。
ところがローマに来て、日本館の主人の好意でお雑煮にもありつき、
煮豆や数の子、日本酒もあり、正月気分に浸ることができた。
A中佐の奥様の手料理でお汁粉もいただき、新年のご馳走にもありついた。
これで完全に今年の年もとれるわけだ。感謝に堪えない。


中佐から欧州政局の推移に関する明快な説明があり、
日独伊協定に直面された身として機微に触れたお話が聞けた。
日本民族の発展について偉大かつ的確な抱負を聞き、
視野を広げることができたように思う。一旦決められた国の方針には朝野協力し、
その完全な遂行に専念しなければならない。悪戯に議論すべきではあるまい。
話は政治論から芸術論に渡り、尽きることがなかった。
夕食を勧められたが辞し、記念撮影をして帰った。
事務所は郊外に近い住宅区域にあり、立派なイタリアヴィラ風の瀟洒な家で、
庭には熱帯植物などの緑樹、美しい花も咲いていた。
私の旅行のことから端なく米国廻り●朝の希望を述べたところ、
早速自発的に書面を出し、依頼してくださるとのことであった。感謝に堪えない。


イタリアの建築行政は分散式で、各省それぞれ機関を持ち、
とくに軍隊には建築班があって技術将校がいるとのことであった。
その管理統制的事項については労働省がやっているそうで、
請負はその都度指名競争であり、その従業請負は各職分業で
相当大資本の業者もあるそうで、
これは政府に相当な寄付をしているので特別な扱いをされており、
業者もみな自重して無理な競争はしないそうである。

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