2010年9月23日木曜日

ミラノ 〜MILANO〜 へ



汽車は10分ばかり遅れて来た。
プラットホームで傘のような格好をしたベルが鳴り発車する。上品な音だ。
崖に向かって右は湖水である。静かな水面、雪を頂く雄大な遠山、
屹然と天にそびえるユレグスフを霧の彼方に見上げるのも絶景である。
蒼々と済み渡る湖水の渚に小舟を浮かべて漁をする様子、
緑の芝生の背後に建つ木造住宅、断崖の線路、アーチの続く石橋、
連続したトンネル、遥かに見下ろす谷の町、
スキーでジャンプする人の様子なども1、2カ所見られた。


途中、山間の小駅でミラノ行き列車に乗り替え、1時過ぎに食堂へ行く。
若い連中がスモーキングでワインを飲みながら歓声を上げている。
皆イタリア人だ。元気なものである。
席に戻ってみると若いイタリア人夫婦が乗っている。
休日を利用してスイスへスキーに行ったのだそうだ。
沿道の影色の説明やらミラノの話、
やがてはイタリアと日本とはすべてがよく似ている、満州とエチオピア、
さてはアメリカはフィリピンを日本に譲るべきだなどと言っていた。
我らの旅行の話をしたり、各所で得たコレクションブック、
家族の写真などを見せ合う。
おかげでミラノに着くまで退屈しなかった。



スイス〜イタリア間の例の長いトンネルもいつのまにか過ぎ、景色は一変。
太陽はあかあかと照り輝き、山上に古い石造りの家屋、白い壁の町、
汽車は湖の右岸を走る。静かな湖面は緑樹の影を宿し、遠く山上の町を反映する。
沿道は急に樹木の種類を増し、大きなシュロの木が各所に、竹やぶなどもある。


午後6時、ミラノ到着。大きな駅だ。想像以上に大きい。
世界最大のものであるという。鉄骨造のプラットホームの上屋、
待合所から玄関までみな大きなものである。
総大理石で大きな大理石柱の連立する玄関があり、乗り物はすべてこの中に入る。
イタリア・ルネッサンス様式の実に立派なものである。

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