2010年9月13日月曜日

レマン湖地方の麗しき眺め




12月31日 

日本では大晦日というのに、旅の気楽さゆえ、
一見呑気でもあるが反面では淋しいものだ。
午後2時半、インターラーケン行きの汽車に乗る。
しかし途中で、スイスの首府ベルンに立ち寄るつもりだ。

汽車はレマン湖に沿って走り、常緑樹の並木越しに水鳥の遊ぶ静かな湖、
スイス特有の大きな屋根、階下を石積み、階上を下見板にしたもの、
例のハーフティンバーの別荘や住宅などを木々の間に眺めながら進む。
その眺めはまるで公園の中を行くかのような絶景である。
気候のよい時に通るのを想像するだけでも形容に苦しむ。
今日は折悪く濃霧が深く、遠望もまったくできない。
左に湖を隔てて見えるはずのユングラフの姿もない。
この列車には食堂車がなく、3時頃途中の駅でサンドイッチや果物を求めて済ます。

午後3時過ぎ、ナーンを過ぎる頃から皮肉にも霧が晴れて陽光を見る。
我らの気候はずれの旅を笑うかのようだ。
だが晴れた景色のなんと美しいこと。
常緑樹、落葉樹、白樺の並木、紅葉のスロープ、美しい配列の建物、
寺院の尖塔、丘や森の続く広々とした景色、
遠く雪を頂く連山が陽に反射して眩しく、
芝生に続く斜面のブドウ畑が実に美しい。

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