T氏と別れ、階下のカフェでワイングラスを傾ける。
ベルリンもとうとう最後の晩かと思うと無性に名残惜しい。
夫婦や女連れがテーブルでトランプに興じながら、睦まじく語り合っている。
そんな光景も今までそれほど好意的にはみえなかったが、
今日はなんだか親しみ深く、このカフェには度々来たので
特に名残惜しさを感じ、ボーイにチップをはずんだ。
外に出れば12月だというのに外套もいらない暖かさ。
満月が雲間に見え隠れしている。
感慨深く、公園の側道を時を忘れて縫い歩いた。
今朝、海軍のS氏からローマよりの報に接し、旅程を聞いたところでは、
ジェノバあたりで会えるように思う。
陸軍のK氏も同行とのこと、ぜひ会いたいものだ。
10時頃、ホテルのマダムや老婆らが別れの挨拶に来てくれる。
家族の写真を見ながら色々話し込み、
サインブックを持ち出して写真を興えたりサインしたりする。
約50日も滞在したので人情に変わりない。共に名残惜しむ。
なんだか身内と別れるような気分だ。
色々と話したいのだがこまかいことはお互いよくわからない悲しさ、
堅い握手を交わして明朝の再会を約束。
部屋に戻り最後の入浴を済ませて、11時頃床につく。
日本から持参したタオル、クリーム、歯ブラシ、香水、
インキ、レターペーパーなどを使い切り、
靴が擦り切れ、ドイツ製を購入したが、
土踏まずが高くて歩きにくく閉口する。
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