12時50分、ケルンへ向かう。
昨夜は到着が遅くて駅の建物は見えなかったが、今朝見れば立派なものである。
赤石の仕上げで高い塔があり、流行したプロポーションのよいスタイルである。
これも以前に写真などでよく目にしたものである。
駅前広場は欧州では珍しく、広々していて公園のようだ。
舗道には3メートルおきぐらいに噴水が連続している。
この駅を出てケルンまでが、いわゆる「ライン下り」である。
世界的に景色のよさが有名なところである。
列車は絵のような景色を左右に見ながらライン河の左岸を走る。
山上、山腹の古城、さびのある優雅な街、崩れかけた寺院、
急流を帆航する船が水面に浮かび、
なんともいえない色あいの街並み、岩上の城主の家々。
夏期に船下りするのもよいが、この季節の裸の山並みの景色、
化粧しない豪華さも決して見劣りしないと思う。
午後2時頃、コブレンツ着。
ここで今まで右岸を通ってきた汽車は、鉄橋を渡って左岸に移る。
旅客のために特にそうしたわけでもあるまいが、
観光者にはいたれりつくせりだ。
今まで右岸から太陽に向って山並みを見ていたが、
今度は左岸から、太陽を背に陽を正面に受けた景色を見ることになる。
アンデマルクにあかあかと夕日が照り輝く光景は実によい。
レマーゲンを過ぎる頃、多少あった濃霧も晴れ、
対岸のマンクスウインターの山上にゴシック風の大建築。
その高い塔は雲表にそびえ、夕日を受けて美しいのなんの、
この二時間ばかり沿岸の景色を右に左にして、座席にじっとしてなどいられない。
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