こんな狭いところに来ると巨船は厄介なものだ。
4隻のランチで押したり引いたりしてようやく繋留することが出来た。
現在に於ける世界の巨船クイーンメリー号での5日間の旅もかくして終え、
無事にアメリカの土を踏むことが出来た。
広い建物の中に頭文字順に並べられた荷物を、税関吏がなかなか細かく調べる。
別に問題もなかった。2個の写真機も無事通った。
満鉄のO氏や国米ホテルの出迎えを受け、ミシンで73丁目の国米ホテルに向かった。
ニューヨークでは自動車のことをミシンというそうだ。すでに午後5時だった。
部屋を決めて下のホールに降りると食堂に夕食の用意が出来ていた。
同宿の日本人は約10名だ。
マダムは一々紹介する。食後は夜の市街見物に出掛けた。
サブ(地下鉄)で42丁目まで行き、タイムズスクエアの繁華に驚き、
ラジオシティやロックフェラーセンターの大ビル群を見て、
名物のバレスクを見てから10時頃、ニューヨークの第一夜をベッドに潜った。
気遣ったほど寒くもなく、欧州にくらべて快晴である。
国米ホテルは私と同郷のとある未亡人の経営である。
別に1人の婦人がいて、私の姉の嫁ぎ先の上道郡出身ということで自然と色々話をした。
なかなか立派なホテルで、相当に金持ちな住宅街の一角にある。
室内装飾、家具などはかなりのものが使われている。
食事は一切が和食で、在宿人一同で揃って食べる習慣のようだった。
材料の豊富なここでは本物の日本料理が出てきた。
特に色々な漬け物が美味かった。
0 件のコメント:
コメントを投稿