2011年4月22日金曜日

建設中のオルリー空港を訪ねる




2月15日
今日はブラツサルモパン会社の案内で、目下建築中の交通省の飛行場見学に行く。
約40分で現場に到着。在来の建物を漸次取り壊し、平面積約7000坪、
鉄筋コンクリート造3階建て、外部はすべて大理石張りのモダンな新様式である。
すでに八部通り竣工し、一部分は使用されている。


約3時間に渡って見物したが、目についたのはエアコンプレッサによる
コンクリート打である。階下の一部にモーターを据え、ミキサーを通じて
六●ぐらいの鉄管で各階の現場へコンクリートを送り打ち込んでいる。
相当の速度で打ち込むので棒突などは一切不要、
鉄筋にもよく密着し細部にも打ち込めて非常に能率的なようだ。
瑕枠も1メートルほどの鉄板を並べていたが、
外したあとのコンクリート肌も平均的でムラがなく、
後からモルタルで塗りつぶすような無様なことはしていない。
その作業能率を比較して、機械設備、電力操作の手数などを計算し、
在来施工法と比較研究する必要があるだろう。


その他、屋上の防塞装置あるいは防水工事は、気候に恵まれた土地だけに
すこぶる簡単なものである。防空防毒に対しては何ら設備せず、
戦時はまったく報捨する考えだと係員は言っていた。
丸天井が5〜6カ所あるが、円形のプリズムで装飾と採光を兼ねているが、
外部に僅かに防水装置があるだけで、
内部はそのスラブ下に直にピラスターが塗ってあるだけだ。
これで冬季も凍害なく解氷期にも問題ないとは羨ましいことだ。
めずらしく見たのは、普通の天井下地が長さ50センチ・幅30センチ・厚さ6センチぐらいの
中空タイルを3個ほど繋ぎ合わせ、三分丸鉄筋で固めたものを
各コンクリートビームの径間に釣るし付け、その面を漆喰仕上げとしていることだ。
採暖と防音装置だと言っていた。
また瑕枠なども相当の径間のあるもので、同一形体のものは鉄骨を使用し、
または立派なトラスを組み、移動的に組み立てられていた。


本工事完成後は欧米における最大の空港となるそうで、
800万フランを要し、本年5月の博覧会開催までに竣工予定である。
フランス政府の建築業務の処置はさすがに自由の国だけあって各省分立であるが、
大体必要なものは公務省で会議する程度で、
設計施工ともに主要なものはコンクールにかけ決定するとのこと。
請負の方法も欧州一帯同様に分業的で、
公入札制によってその決定は相当に手数と日時を要するものである。

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