朝10時からタクシーで見物に出掛ける。近くの宮殿を見る。
フランスのヴェルサイユ宮殿を模倣したのだそうで、
外部はさほどでもないが内部は立派である。
謁見室や会議室、大食堂は特に荘厳かつ美しい。
各室の油絵や各国寄贈の美術品、特に日本の物は目を引いた。
内部も綺麗だが庭園は特に立派で広い。
池や噴水、林に芝生、遠くに美術的な門が見える。
世界の宮殿の中でも指折りなだけはある。
工芸美術館からイーストバンホフ前をリングストラッセに出た。
対立するミュージアム庭園の中央にはクインの銅像、ウイーン大学、
国会議事堂、各宮ゴシックの尖塔のある市役所、チャールズ教会、
自由広場のホテーフ教会などが、この付近で各様式を競っている。
今日は好い天気で、ブタペストの濃霧に気を悪くしていた目には、
太陽の光を仰ぎ見られて晴れ晴れする。
落ち葉の樹間にそびえ立つ美都ウィーンの美的建築へ、
自動車を止めて右に左にカメラを向ける。
議事堂前で写していると、通りがかりの3〜40人の学生が写してくれと
先生の言うことなど聞かずに押し合って寄って来る。
2、3枚写すとしきりに何か言う。多分できたら送ってくれというのであろう。
1人の学生にアドレスを書かせる。皆「アルーアルー」と手をあげて別れる。
自動車は繁華街を古イセントステファン教会前に出る。
外部を一巡して内部へ入るが、薄暗くてよく見えない。
たくさんの参拝者が皆ひざまずき、白衣の僧正から何か口に入れてもらっている。
みな、僧正の祈りで合唱している。なんとなく敬虔な気分に合掌する。
それから国立劇場、チャールズ教会などを見て郊外へ車を飛ばす。
有名なマルクスホフのアパート見物である。
6、7階建ての近代様式で、単紅色フラットの大集団は古都の一偉観である。
戸数1200、人口6000人、託児所、プール、庭園、運動場などが設備され、
内部は玄関、便所、台所に2つの寝室くらいである。
これで家賃は月20●約12円。3室で18円。
この家賃計算には経常費だけで建築費は入れていないそうである。
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